ワイヤーロープは種類が多く、現場に最適な一本を即決するのは意外と難しい…。
- 6×24と6×37、どちらが現場に合う?
- IWRC/FCや材質(スチール・ステンレス・メッキ)の選び方は?
- JIS規格の安全率や交換基準は何を見ればいい?
本ガイドは構造・芯材・材質の違いを図解で整理し、用途別の最適解と選定チェックリストを提示。JIS規格に沿った安全・効率・コストのバランス取りが、この記事だけで身につきます。
ニッサンスチールはJIS規格のワイヤーロープを基盤に、安全性を保証しながら、規格外・特注や大ロットにも柔軟に対応します。
国産素材×海外加工でコストも最適化。初めての調達でも安心してご相談ください。
ワイヤーロープの基礎知識
ワイヤーロープとは?構造と役割
ワイヤーロープとは、複数の鋼線(素線)を撚り合わせて束ねたストランドを、さらに芯材の周囲に組み合わせて形成したロープ状の製品です。高い強度と柔軟性を兼ね備え、クレーン作業・玉掛け・建設現場・船舶設備・舞台装置など幅広い分野で利用されています。
チェーンや繊維ロープに比べ、耐荷重や耐摩耗性に優れているため、重量物の吊り上げや安全性を伴う作業に欠かせない存在です。
また、ワイヤーロープは単なる「引っ張る道具」ではなく、荷重を分散させて効率的に支える役割を持っています。そのため、構造や材質を理解して適切に選定することが、現場の安全と効率の両立に直結します。
基本構造の要素(ストランド・素線・芯・撚り方)
ワイヤーロープは以下の要素で構成されています。
- 素線:細い鋼線。複数を撚り合わせてストランドを形成する。
- ストランド:素線を束ねて1本のより線としたもの。複数のストランドを組み合わせてロープ全体が作られる。
- 芯(コア):ロープの中心部に配置される芯材。ワイヤ製のIWRC(独立ワイヤロープ芯)と、繊維製のFC(ファイバー芯)がある。
- 撚り方:ストランドの巻き方向による違い(普通撚り・S撚り)があり、用途に応じて使い分ける。
このように、ワイヤーロープは見た目はシンプルですが、構造要素の選び方で「強度」「柔軟性」「耐久性」が大きく変わります。
ニッサンスチールはJIS規格のワイヤーロープを基盤に、安全性を保証しながら、規格外・特注や大ロットにも柔軟に対応します。
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JIS規格で定められたワイヤーロープの種類
6×24と6×37の違いと特徴(図解比較)
ワイヤーロープの代表的な構成として 6×24 や 6×37 があります。
これは「6本のストランド」それぞれに「24本または37本の素線」が束ねられていることを意味します。
- 6×24ロープ:素線が太めで摩耗に強い。耐久性重視の建設・土木現場で使われやすい。
- 6×37ロープ:素線が細かく、柔軟性が高い。プーリーや滑車に巻きつけて使う場面に適している。

このように「素線数が少ない=摩耗に強い」「素線数が多い=柔軟性が高い」という傾向があり、用途に応じた選定が重要です。
IWRC(独立ワイヤロープ芯)とFC(ファイバー芯)の比較
ワイヤーロープの中心部には、芯材(コア)が存在します。代表的な2種類は以下の通りです。
- IWRC(Independent Wire Rope Core):鋼線で作られた芯。高強度で伸びが少なく、重荷重や高層クレーンに使用される。
- FC(Fiber Core):麻や合成繊維で作られた芯。柔軟性があり、取り扱いやすいが強度はIWRCに劣る。
用途によって「強度を優先するか」「柔軟性を優先するか」を見極めることが必要です。
JIS規格と安全率の基本ルール
日本産業規格(JIS)は、ワイヤーロープの品質・寸法・性能を統一した基準です。JIS規格に適合した製品は、信頼性の高い強度や耐久性を保証しています。
特に安全率については「6以上」が目安とされており、定格荷重の6倍以上の破断強度を持つことが求められます(参考:厚生労働省「クレーン等安全規則」)。
例えば、定格荷重が1トンのロープは、6トン以上の破断強度を有する必要があるという考え方です。これにより、作業中の不測の衝撃や摩耗にも対応できるようになっています。
JIS規格を理解することで、現場ごとに「どの構成が適しているか」を適切に判断できます。
材質別ワイヤーロープの種類
スチールロープ(強度・汎用性)
スチールロープは、最も一般的に使われるワイヤーロープで、高い引張強度と耐久性を備えています。建設現場やクレーン作業、土木工事、物流分野など幅広い用途に対応できるのが特徴です。
コストパフォーマンスも良いため、大量調達や日常的に消耗する現場でも選ばれることが多いです。ただし、防錆性は高くないため、海洋環境や水分が多い場所ではメッキ加工やステンレス材との比較検討が必要になります。
ステンレスロープ(耐食性・衛生性)
ステンレス製のワイヤーロープは、錆びにくく耐食性に優れる点が大きな特長です。海洋環境や船舶設備、食品工場など、湿気や薬品にさらされる環境で重宝されます。また、美観性も高いため、建築外装やディスプレイ用途にも利用されています。
一方で、スチールロープに比べると価格が高くなるため、導入コストと使用環境のバランスを考えて選定する必要があります。
亜鉛メッキロープ(耐久性とコストのバランス)
亜鉛メッキロープは、スチールロープに亜鉛コーティングを施し、防錆性を高めたタイプです。コストと耐久性のバランスが良く、屋外用途や長期使用を前提とした現場に適しています。
ステンレスほどの耐食性はないものの、価格を抑えつつ錆への耐性を確保できるため、建設や土木、一般産業で広く使われています。
材質の違いを理解することで、「強度を重視するか」「耐食性を重視するか」など、現場の環境条件に最適な選択が可能となります。
用途別に適したワイヤーロープの選び方
建設・クレーン作業向け
建設現場やクレーン作業では、高い強度と耐摩耗性が重視されます。代表的には6×24のスチールロープや、IWRC芯を採用した構造が選ばれることが多いです。
摩耗に強く、繰り返しの荷重にも耐えるため、鉄骨工事や重量物の吊り上げに最適です。
物流・玉掛け作業向け
物流分野や玉掛け作業では、安全率と取り回しのしやすさがポイントとなります。6×37の柔軟な構造は、滑車やフックへの掛け外しがスムーズで、荷役作業を効率化できます。
耐久性と柔軟性のバランスが良いため、倉庫や港湾作業などでも多用されています。
漁業・船舶向け
漁業や船舶用途では、耐食性と防錆性が欠かせません。ステンレスロープや亜鉛メッキロープが選ばれるケースが多く、特に海水環境ではステンレスが長期的な安心を提供します。
錆による強度低下を防ぐことで、過酷な環境下での作業安全性を確保できます。
舞台・イベント・特殊用途向け
舞台装置やイベント会場では、安全性と目立たなさが重要視されます。黒色コーティングされたワイヤーロープや、静音性に配慮した柔軟タイプが選ばれることがあります。
強度と美観を両立させることで、舞台演出や展示装置を安全かつスマートに支えることが可能です。
このように、用途によって求められる性能は異なります。
ワイヤーロープ選定のポイント
使用環境(屋内・屋外・海洋・高温)
ワイヤーロープを選ぶ際には、使用環境を考慮することが不可欠です。屋外や海洋環境では錆のリスクが高く、亜鉛メッキロープやステンレスロープが適しています。
逆に屋内作業ではスチールロープでも十分な性能を発揮できます。また、高温環境下では材質の強度低下に注意が必要で、仕様に適合した製品を選ばなければなりません。
必要荷重と安全率の確認
ロープを選ぶときは、吊り上げる荷物の重量だけでなく、安全率を考慮した余裕のある強度が必須です。JIS規格では安全率6以上が目安とされており、定格荷重の6倍の破断荷重を持つロープが基準となります。
適切な安全率を確保することで、想定外の荷重や衝撃に対しても安全性を維持できます。
寿命とメンテナンス性の考え方
ワイヤーロープは摩耗や錆により少しずつ劣化していきます。定期的な点検を行い、素線切れや変形が見られたら交換を検討することが重要です。特に玉掛け作業では、1年以内ごとの定期自主検査が法律で義務付けられています。
交換サイクルを計画に組み込み、現場の安全と効率を長期的に維持することが求められます。
これらのチェックポイントを押さえることで、現場に最適なワイヤーロープを的確に選定できます。
ワイヤーロープ選びについてよくある質問
Q1:6×24と6×37はどちらを選ぶべき?
6×24は素線が太く摩耗に強いため、建設や土木現場など過酷な環境での使用に向いています。
6×37は素線が細かく柔軟性が高いため、滑車を使う場面や玉掛け作業に適しています。
用途に応じて「摩耗性」か「柔軟性」どちらを優先するかで選ぶと良いです。
Q2:ステンレスとスチール、どちらが安い?
一般的にスチールロープの方が安価です。ステンレスは耐食性に優れる分、コストが高くなります。
屋外や海洋環境で長期間使用する場合はステンレスが結果的に長持ちするため、総合的なコストパフォーマンスで選ぶことが大切です。
Q3:玉掛けワイヤーロープはどのくらいで交換する?
法律では1年以内ごとの定期自主検査が義務化されていますが、実際には使用頻度や環境によって寿命が変わります。素線切れや摩耗、腐食が目視で確認できた場合は即時交換が必要です。
安全のため「早めの交換」が推奨されます。
Q4:国産と海外製の違いは?
国産ワイヤーロープはJIS規格に準拠しており、品質と信頼性が高いのが特長です。海外製は価格面で優位な場合がありますが、規格や品質に差があるため、信頼できるメーカーを選ぶことが重要です。
これらの質問は現場でよく聞かれる内容であり、理解しておくことで選定ミスを防げます。
まとめ|最適なワイヤーロープを選んで現場の安全と効率を守る
ワイヤーロープは、構造(6×24・6×37など)や芯材(IWRC・FC)、材質(スチール・ステンレス・亜鉛メッキ)によって性能が大きく変わる製品です。用途や環境に応じて適切に選定することで、現場の安全性と作業効率を高めることができます。
また、JIS規格に基づいた製品を選ぶことは、信頼性と法令順守の両面で重要なポイントです。
ニッサンスチールは、国内でも数少ないJIS規格取得メーカーとして、高品質なワイヤーロープを提供しています。さらに、売れ筋サイズの迅速体制や、規格外サイズへの別注対応も可能です。
大ロット調達や特殊仕様のご相談も承っており、現場ニーズに即した柔軟な対応力を強みとしています。
ニッサンスチールはJIS規格のワイヤーロープを基盤に、安全性を保証しながら、規格外・特注や大ロットにも柔軟に対応します。
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