ワイヤーロープのキンクは危険!強度低下20〜60%の根拠と廃棄基準

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ワイヤーロープにできた“輪”が強く締まり、内部のストランドが乱れることで発生するキンクは、見た目以上に危険な損傷です。外観が元に戻ったように見えても、内部では強度が20〜60%低下しているケースもあり、作業現場では特に注意が必要です。

しかし次のような疑問を持つ方は少なくありません。

  • キンクが生じる具体的な原因は何か
  • 見た目が直っていてもなぜ危険なのか
  • キンクを防ぐためにどの点検や作業が重要なのか

本記事では、キンクの仕組み・発生原因・強度低下の根拠・廃棄基準・防止策まで、現場で欠かせない知識を専門的かつ分かりやすく解説します。

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目次

ワイヤーロープに起こるキンクとは? 

キンクの定義とロープ構造(ストランド・繊維心/鋼心との関係)

キンクとは、ワイヤーロープの一部が輪を作った状態で強く引かれ、ストランドの配置が永久的に乱れてしまう損傷を指します。ストランドの位置がずれると、繊維心(FC)や鋼心(IWRC)が片側に押しつぶされたり、逆に隙間が生じたりするため、素線・ストランドが元の位置からずれ、荷重が偏りやすくなる。この構造変化が、後述する強度低下の主因となります。

キンクが元通りにならない理由(内部変形・局部的損傷)

キンク部分は外観を手で戻しても、内部のストランドは塑性変形したままの状態です。素線同士が強く押し合って“噛み込み”が起こる場合もあり、元の位置関係には戻りません。

特に、剛性が高いロープほど、変形が残って扱いにくくなることがあるため、荷重をかけると弱点として作用します。これが「キンクは元通りにならない」とされる理由です。

見た目は戻っても危険が残る「直ったように見える」状態の問題

キンクは外観だけを見ると「戻った」「問題なさそう」と感じられる場合があります。しかし、その内部ではストランドが乱れたまま応力が偏っており、安全上の大きなリスクとなります。以下の点が特に危険です。

  • ストランドが詰まったり偏位したまま固定され、内部応力が局部的に集中する
  • 素線の摩耗や圧痕が内部で進行し、気づかないうちに断線につながる
  • 見た目の形状が整っていても強度の回復は期待できず、20〜60%の強度低下が残る

これらの要因により、外観だけで「直った」と判断することは非常に危険です。
キンクは内部損傷の度合いが外から見えにくいため、継続使用が事故につながる可能性があります。

ワイヤーロープにキンクが発生する原因と種類

巻取り方向・荷重方向の不一致で起こる応力集中

ワイヤーロープは、巻取り方向と荷重方向が一致していないとストランド内部でねじれが発生し、局部的に強い応力が集中します。このねじれが蓄積すると、ロープが意図しない方向へ回転し、輪の形成を引き起こすことがあります。

特にドラムやリールに巻き付ける際、ワイヤーロープの向きを誤ると内部の繊維心や鋼心が片側に偏り、キンクの初期状態が生まれやすくなります。わずかなねじれでも荷重が加わると大きな変形につながるため、巻取り時の方向確認は必須です。

ロープが弛んだ状態での引張作業による変形

ワイヤーロープが弛んでいる状態で急激な引張荷重を受けると、余った部分が輪になって締まり、ストランドが押しつぶされるように変形します。特に弛みが大きい場合は、輪の形が完全にロックされ、強度低下につながるキンクが一度で発生することもあります。

内部では繊維心や鋼心の位置が不均等になり、以降の作業でさらに摩耗や断線を招きます。日常の点検で弛みの発生を防ぐことは、キンクの予防に影響する重要なポイントです。

軽度・中度・重度キンクの特徴と判別ポイント

キンクは損傷の進行度によって外観と危険度が大きく異なります。以下は現場で判別する際の基本的な目安です。

  • 軽度キンク:小さな輪が形成されている状態で断線は見られない。内部ではストランドが偏位している可能性がある。
  • 中度キンク:ストランドの乱れが目視でき、繊維心・鋼心の偏りが確認される。荷重でさらに変形が進みやすい。
  • 重度キンク:素線の断線や局部的な潰れがあり、ワイヤーロープとしての安全性は著しく低下している。使用禁止レベル。
ワイヤーロープのキンクの重度(軽度から重度)

このようにキンクの種類が進行するほど強度低下は大きくなり、事故リスクも高まります。

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キンクが及ぼす深刻な影響 |強度20〜60%低下の根拠と内部損傷について

実験データ・PDF資料に基づく強度低下数値の根拠

キンクが発生したワイヤーロープでは、破断荷重が平常時より大幅に低下することが複数の技術資料で報告されています。一般的な試験結果では、強度が20〜60%低下することが確認されており、これはストランドの局部変形と応力集中が主因です。

特に鋼心(IWRC)タイプでは心が偏位したまま固定されるため、引張方向の応力が局部に集中しやすく、変形が残りやすい場合があります。資料参照元:一般社団法人 日本鋼索工業会

この数値を踏まえると、外観がわずかな変形に見える場合でも、内部損傷は深刻なレベルに達している可能性があります。

ストランド破断に至る内部損傷メカニズム

キンク部分では、外観よりも内部で深刻な損傷が進行しています。

具体的には次のような現象が発生します。

  • ストランドが不自然な角度で押しつぶされ、素線同士が強く干渉する
  • 一部の素線だけに過大な引張応力が集中し、疲労が急速に進行する
  • 内部摩耗が進み、外から見えない位置で断線が発生することで連鎖的損傷を招く

これらは外観では判断しにくく、「見た目は整っているのに内部は破壊が進んでいる」というキンク特有の危険性につながります。

強度低下は不可逆で「廃棄」判断が必要となる理由

キンクによる変形は塑性変形であるため、手で戻したように見えてもストランドと心材の位置は正常には戻りません。このため、初期の破断荷重まで強度が回復することはなく、使用を続ければ常に偏った応力がかかり続ける状態になります。玉掛け作業のように瞬間的な荷重が作用する現場では、この応力偏りが致命的となり、破断事故につながるリスクが極めて高くなります。

だからこそ、キンクを確認したワイヤーロープは原則として廃棄が推奨されます。

キンクを防ぐための点検基準と作業上の予防策

点検で確認すべき箇所(局部的変形・摩耗・断線)

ワイヤーロープのキンク発生を防ぐうえで、日常点検は最も重要な工程です。特にストランドの局部的な変形、摩耗、断線の有無は念入りに確認する必要があります。

キンクの前兆として現れやすい「輪の形成」や「わずかなねじれ」は、初期段階で適切に発見できれば重大な損傷を避けられます。また、繊維心や鋼心が偏位している場合も内部の応力分布が乱れている可能性があり、見逃すべきではありません。

摩耗が進んだ部分や荷重が繰り返しかかる部分は損傷が現れやすく、重点的なチェックが必要です。

キンク発見時の安全判断と交換基準

点検でキンクが確認された場合、軽度であっても内部損傷が進行している可能性が高く、原則として交換を推奨します。特に中度・重度のキンクは強度低下が著しく、玉掛け作業中に断線につながるリスクがあります。

ワイヤーロープは内部の損傷が外観だけでは判断できないため、「見た目が戻っているから安全」という判断は極めて危険です。法令・安全指針の趣旨から、重大事故を防ぐためには早期廃棄が適切とされています。

正しい巻取り・保管・使用方法によるキンク防止策

キンクの発生は日常の取り扱い方法を改善することで大幅に減らせます。以下は現場で実践しやすい基本的なポイントです。

  • ワイヤーロープを巻き取る際は、巻取り方向と荷重方向を一致させ、ねじれを発生させない
  • 使用時に弛みを作らないよう、ロープを常に張った状態で操作する
  • 保管時はロープが乱れたり交差したりしないよう整えて収め、取り出し時はねじれの有無を確認する
ワイヤーロープの取り扱いサイクル


これらの取り扱い方法を徹底することで、ワイヤーロープの寿命が延びるだけでなく、キンクの発生を未然に防ぎ、安全性の確保が期待できます。

まとめ

ワイヤーロープのキンクは、外観が戻ったように見えても内部ではストランドが損傷し、強度が20〜60%低下する危険な状態です。発生原因を理解し、日常の点検で局部的な変形や摩耗、断線を早期に発見することが、安全な作業を続けるための最も確実な方法です。

また、キンクを確認した際は内部損傷が不可逆であることから、早めの交換判断が欠かせません。現場の安全を守るためには、品質の確かなワイヤーロープを選ぶことも重要です。

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