玉掛けワイヤーロープの荷重表ガイド|サイズ別・吊り角度別の安全荷重を解説

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・「径・本数は分かったけど、角度でどれだけ“効く”のか一目で知りたい…

・「メーカーごとに荷重表が微妙に違うのはなぜ?現場ではどれを基準にすべき?

・「加工部(アイ・スリーブ)や摩耗を加味すると、実際どこまで安全なの?

本記事では、玉掛けワイヤーロープの荷重表を“現場で迷わず使える”ように、径・本数・角度の読み方から安全率6以上の考え方、加工部や劣化が数値に与える影響までを体系的に整理。6mm〜24mm超までの代表径で“どの角度なら何トンまで安全か”を即判断できる実務目線のポイントをまとめました。建設・物流・インフラでの玉掛け安全管理を強化したい方に最適の内容です。

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目次

玉掛けワイヤーロープ荷重表とは?基本と安全の考え方

玉掛けワイヤーロープ荷重表とは?基本と安全の考え方

玉掛け作業で使用されるワイヤーロープは、定格荷重を超えない範囲で使用することが法律(クレーン等安全規則)でも定められています。その判断基準として欠かせないのが「荷重表」です。

荷重表には、ロープ径・吊り本数・吊り角度ごとに設定された安全荷重が示されており、現場での安全作業を支える必須ツールとなります。

安全荷重表に記載される値は、ロープが破断するまでの最大強度(破断荷重)を基に、安全率6以上(JIS基準に準拠)を掛け合わせて算出されます。

例えば破断荷重が6トンのロープであれば、安全荷重は1トン以下となります。この「6倍の余裕」を設けることで、摩耗・腐食・曲げといった実務上の不確定要素を吸収し、安全を確保する仕組みです。

荷重表を正しく理解するには、いくつかの専門用語を押さえる必要があります。

例えば「ロープ径(公称径)」は新品時の直径を指し、摩耗や素線切断が進むと径が減少し安全荷重も低下します。「6×24」のような表記は1本のロープを構成するストランドと素線の数を意味し、柔軟性や耐摩耗性の特徴を把握する上で重要です。

このように、荷重表は単なる目安ではなく、安全率・構造・使用条件を統合して安全作業を保証する指標です。

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ロープ径別ワイヤロープ荷重表と安全荷重の目安

ワイヤーロープは径が大きくなるほど破断荷重が増し、安全荷重も高くなります。しかし荷重表を確認するとわかるように、径だけでなく吊り方や角度によって数値が大きく変動します。

ここでは、代表的なロープ径ごとに現場での使い方と安全荷重の目安を解説します。

小径ワイヤロープ(6mm〜9mm)の荷重表と使用例

小径ロープは軽量資材の吊り上げや補助用途に使われ、取り回しやすさが特徴です。荷重表では安全荷重が数百kg〜1トン未満となり、角度が広がると耐えられる荷重はさらに減少します。

細径ゆえに摩耗や素線切断の影響を受けやすく、腐食や曲がりが生じた場合は速やかな交換が必要です。

中径ワイヤロープ(12mm〜16mm)の玉掛け作業での安全荷重

12mm〜16mmクラスは、建設現場で鉄骨やコンクリート二次製品を吊る標準サイズとして多用されます。荷重表上では数トンの荷を扱えるケースが多く、汎用性が高い一方で角度が90°を超えると安全荷重は半減します。

現場では「径が太いから大丈夫」と誤解されがちですが、荷重表に基づいた厳密な確認が必須です。

大径ワイヤロープ(20mm以上)の4本吊り・高荷重作業への活用

20mmを超える大径ロープは大型クレーンによる重量物作業に用いられ、荷重表上では10トン以上の安全荷重が設定される場合もあります。特に4本吊りで使う場合は、角度による荷重分散を理解していないと危険です。

また、大径ロープであっても加工部(アイスプライス・スリーブ圧縮止め)や腐食の進行により実際の強度は著しく低下するため、荷重表の数値を過信せず点検を組み合わせることが欠かせません。

径ごとの荷重表を正しく理解することで、作業対象に適したワイヤーロープの選定が可能になります。

吊り本数と吊り角度で変わる玉掛け用ワイヤロープの安全荷重表

荷重表を正しく理解する上で欠かせないのが「吊り本数」と「吊り角度」です。同じ径のワイヤロープでも、1本吊りか4本吊りか、角度が30°か120°かによって、安全荷重は大きく変化します。

これは、荷重が各ロープに均等に分散しないためであり、現場では特に注意が必要です。

1本吊り・2本吊り・4本吊りの安全荷重の違い

  • 1本吊り:荷重はすべて1本に集中するため、荷重表の基本値がそのまま適用されます。
  • 2本吊り:荷重が分散するため、同条件なら安全荷重は増えます。ただし角度が広がると一方に集中しやすく危険です。
  • 4本吊り:理論上は大きな荷重に耐えられるはずですが、実際には均等荷重分散は困難で、計算上の70〜80%しか期待できません。

吊り角度0°・60°・90°・120°ごとの荷重表と計算方法

吊り角度が小さいほど荷重は分散されますが、角度が広がると一気にロープ1本あたりの負荷が増加します。

  • 0°(垂直):ロープがまっすぐ荷を支えるため、安全荷重は最大。
  • 60°:2本吊りの場合、各ロープに0.58倍の荷重がかかる。
  • 90°:各ロープに0.7倍程度の荷重が作用し、許容荷重が大きく低下。
  • 120°:極めて危険で、荷重表上でも安全荷重はほぼ半分以下に設定される。
吊り角度によるワイヤロープの安全荷重

安全率6倍以上を守るためのJIS基準とクレーン等安全規則

ワイヤロープおよびワイヤロープスリング、さらに厚生労働省のクレーン等安全規則では、玉掛け用ワイヤロープの使用に際して安全率6以上が前提とされています。つまり、荷重表の数値を超えて使用することは法的にも禁止されています。

一時的に超過する場合は「クレーン特例報告書」の提出と荷重試験が必須であり、現場責任者の管理下でなければ作業できません。

吊り本数や角度の理解は、単なる知識ではなく事故防止の要です。

加工部と摩耗・腐食が安全荷重に与える影響と交換基準

ワイヤロープの強度は新品時の公称径を基準に設定されています。しかし、加工部の形状変化や摩耗・腐食の進行によって安全荷重は著しく低下します。

荷重表の数値だけに頼るのではなく、日常点検と交換基準の理解が必要です。

アイスプライス・スリーブ圧縮止め加工部の注意点

玉掛け索は両端にアイ加工が施されるのが一般的です。アイスプライスはロープを編み込む加工方法、スリーブ圧縮止めは金属スリーブで固定する方法です。

どちらも強度は確保されますが、加工部は構造上応力が集中しやすいため摩耗や変形が早く進行する傾向があります。

摩耗・きず・キンク・変形など劣化のサイン

使用を続けると、素線の摩耗や外観のきず、局部的な曲がり、形くずれが発生します。これらは強度低下の初期サインです。

特にキンク(ロープがねじれて潰れた状態)は危険で、使用中に破断へ至る恐れがあります。

素線切断10%以上・公称径7%減少で交換すべきケース

JIS基準および業界標準では、以下の場合は即時交換対象とされています。

  • 一定長さ内で素線切断数が全体の10%以上
  • 公称径から7%以上減少した場合
  • 著しい腐食、局部的な座屈や変形が見られる場合
ワイヤロープの交換基準

加工部や摩耗・腐食を見逃すと、荷重表通りの安全荷重を保証できません。

玉掛けワイヤロープ荷重表の現場での活用方法

荷重表の理解は座学だけでなく、現場での実践が重要です。建設、物流、インフラといった各現場で、荷重表は安全管理の基盤となっています。

建設現場での玉掛け索の安全荷重確認フロー

鉄骨建方では、複数本のワイヤロープを使って大梁を吊るケースが多くあります。作業前には必ず荷重表で安全荷重を確認し、吊り角度とロープ径の適合をダブルチェックする必要があります。

物流・インフラ現場におけるワイヤロープ荷重表の使い方

港湾荷役や橋梁メンテナンスなどでは、重量物を限られたスペースで吊る作業が発生します。荷重表を基に最適な径と本数を選び、過負荷を防ぐことが効率化と安全確保の両立につながります。

玉掛けワイヤーロープの荷重表についてよくある疑問Q&A|

荷重表を理解しても、実際の使用では多くの疑問が残ります。ここでは現場でよく挙がる質問を取り上げます。

ロープ構成ごとに荷重表が違うのはなぜ?

規格改変がなければ、基本的には全て同様です。同じロープ径でも6×24と6×37では柔軟性や破断荷重が違い、荷重表の数値も変わります。

加工部や片端を含めた場合の安全荷重の扱い方は?

加工部は摩耗や変形が起こりやすいため、荷重表に記載された理論値をそのまま適用するのは危険です。常に余裕を持った使用が求められます。

腐食や著しい摩耗がある場合の使用可否判断どうおこなう?

腐食や摩耗が進行すると、素線切断や径の減少が早まります。基準を超えていなくても、「著しい」と判断できる場合は使用を避けるのが原則です。

まとめ|玉掛けワイヤーロープ荷重表を理解して安全な作業を

玉掛けワイヤロープの荷重表は、径・本数・角度・加工部の状態によって大きく変化します。安全率6倍以上を守ること、摩耗や腐食を見逃さないことが、事故防止と効率化の両立につながります。

ニッサンスチールでは、JIS規格ロープを基盤に、玉掛け用ワイヤロープを豊富に在庫し、迅速対応が可能です。規格外や別注加工にも柔軟に対応できるため、現場の課題に合わせた最適な提案ができます。

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